eDumper
車種紹介

充電不要な世界最大EVダンプカー「eDumper」の底力

人間よりも大きなタイヤ、高い場所に位置する運転台、街中で目にするダンプカーの何倍もの大きさがある荷台。これらの要素を持った巨大なダンプカー、コマツの「H605-7」。これをベースに完全EVダンプカーとして製造されてているのが、今回ご紹介する「eDumper」です。

EV技術の発達が加速する昨今、これからの時代は回生ブレーキの活用により、車も充電を必要としなくなるかもしれません。

世界最大のEVダンプカー「eDumper」

スイスの工業機器卸業者「Schweitz AG」が開発したeDumperは、前述の通りコマツの「H605-7」をベースに製造。サイズは全長9,000mm、全幅4,200mm、全高4,200mmで、荷台を完全に上げた際には高さ8.5mにもなり、重さは45トンと、まさに巨大ダンプと言うべきスケールを誇示したダンプカーです。悪天候時でも13%の傾斜を登ることができ、最大で約60トンの石灰などを運搬できます。

「eDumper」はバッテリーも世界最大

特筆すべきは専用のバッテリーパック。こちらのバッテリーパックも陸上車両に搭載されているバッテリーパックとしては世界最大の大きさとみられ、重さ4.5トン、600kWの容量を誇ります。従来のEV車両のように専用のコンセントや充電ステーション経由での充電を必要とせず全て、走行時に発生する電気エネルギーで賄える点が大きな特徴といえます。ダンプカーのため、鉱山での作業が基本となるわけですが、eDumperではその工程をうまく活用しています。

採掘等の一作業が完了し鉱山を下山する際に使用される回生ブレーキが、電気エネルギー発生させます。eDumperではそこで発生した電気を貯蓄。次に山を登る際に貯蓄しておいた電気を利用することができるといった仕組みです。この回生ブレーキの活用により、充電の必要がなく、走行に必要なすべての電気を走行時に回収できてしまいます。また下山時に回収した電気エネルギーで、走行時に必要となる電気以上の余剰分が発生した時には、他のユニットでの使用に回されたりと、とても効率的な仕組みです。

このバッテリーパックのセルは万が一故障しても、隣接するセルへ影響を与えないよう設計されています。それに加え、この大型バッテリーセルの安全性を確保するために、スイス連邦材料試験研究所(Empa)によって、機械的損傷が発生した場合等に使用されるリチウムイオンセルの動作調査も行われています。世界最大のバッテリーパックに対してはこういった対策も取られているため、今後のEV開発を行っていく上でも、貴重な技術データとして重宝されそうな側面がありそうです。

環境やコスト面にも良い「eDumper」

ベースとなるコマツのダンプトラックなど、従来のディーゼルエンジンを利用したダンプトラックの場合環境への影響はかなり大きいものでした。ですが、完全電動となるeDumperの場合、ディーゼルを必要としないため、年間で約50,000リットルものディーゼル燃料を削減することが可能となります。また、EV自動車の場合二酸化炭素排出量はゼロとなるため、年間約130トンのCO2削減が可能です。

充電時間が必要なかったりオイル代がかからないことで、利用する業者側のメリットも大きい反面、環境への影響も大きく、EVによる恩恵をかなり享受できそうな1台。私たちの日常生活では山で発生するほどのエネルギーを得ることができなくとも、こうした製品の技術を活用しながら今後、充電の必要ない電気自動車の販売される日がやってくるかもしれません。

参考:eMining’s eDumper is the world’s largest electric truck(electrive.com)
画像引用:eDumper